広島の自助グループ 「NPO法人 小さな一歩・ネットワークひろしま」

自死遺族支援、自死(自殺)防止のための支え合い

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法的に間違っていなくても人として間違っている

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先日、ある自死遺族の方が、「今日が1周忌で、、」と電話をかけてきました。
その方のお話は以前から何度か聞いていたけれど、
初めて聞く事実に、心が締め付けられるような衝撃を受けました。

2人暮らしで仲良しだった。
少し前から「うつ状態」であることは知っていて、特にここ数日、様子がよくないと思っていたが、希死念慮には全く気がつかなかった。
今日はちょっときちんと話をしようと思った矢先、目を離したわずかの間に、投身自殺を図った。
あまりにも突然で、部屋にいないな、と思いながらそのことに気づかないほどだった。

倒れている姿を近所の人が通報し、警察が来て気づいた。
駆け寄った時、まだ意識がわずかにあり、苦しんでいるところに駆け寄ろうと思ったら
警察に止められた。体に触れることさえ許されなかった。

「突き落とした容疑者」として拘束され、長時間の取り調べが終わったときにはすでに故人となっていた。
声をかけることすらできなかった、臨終に立ち会う人が誰もいなかった。

「痛がっている体をせめてさすってあげたかった。今でもあのときの声が耳を離れない」
「自死するほど苦しんだこともかわいそうだったけど、最後に本当に痛かったろうな。と思うと、それがかわいそうでならない」

深夜の電話口の声は涙で途切れました。
「ここまで細かいことを話したのは米山さんが初めてです。話せてよかった」と言われて涙が出ました。

状況は私の娘とよく似ていました。
娘は発見されたときにすでに意識不明で、その後目を開けることはなかった。
「もう助からない」と医師に告げられた時、「本人はいま、痛みを感じていないのでしょうか」と聞きました。
「ご本人は気持ちよく眠っているのと同じ状態です。痛みも苦しみもありません」
それが唯一の救いだったかもしれません。

それだけに、この方の話は「これが自分だったら」と思うと(平凡ですが)胸が張り裂けそうでした。

それにしても
自死遺族の二次被害からの救済の動きはあるけれど、
ろくな取り調べもせず、見込みでその場で拘束し、最期にも立ち会わせなかった警察の非人道的な対応。
これに対して、何のとがめもないのでしょうか。

2015年06月03日 11:03