広島の自助グループ 「NPO法人 小さな一歩・ネットワークひろしま」

自死遺族支援、自死(自殺)防止のための支え合い

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価値観のチャンネルを合わせること

今週の月曜日、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で見た
谷口仁史氏の「寄り添うのは傷だらけの希望」
http://www.nhk.or.jp/professional/

深く感銘し、また、衝撃を受けました。
谷口さんは、不登校や引きこもりの子どもたちの支援を行う佐賀のNPO法人の代表です。

≪番組紹介コメント≫

ひきこもり、不登校、自殺未遂・・・社会の人間関係に傷つき、心を閉ざした若者たちの多くが、悩みや苦しみを誰にも打ち明けられず、孤独の中で暮らしている。そうした若者たちを救うため、谷口は“アウトリーチ”と呼ばれる訪問支援を行う。若者たちのもとに、こちらから出向き、直接支援する手法だ。谷口は、このアウトリーチの達人と言われる。
「ひきこもりや不登校、そして非行など、若者たちが抱える課題は、社会から孤立することによって深刻化しやすくなります。そうした若者が自分から相談施設に足を運ぶことは難しく、彼らが自立に向けたきっかけを得るには、アウトリーチが必要なんです。」
だがアウトリーチは、極めて高い援助技術を要し、熟練の支援者でも取り組むことが難しい。心を閉ざした若者との直接接触はリスクが高く、彼らをさらに追いつめ、状況を悪化させる恐れもあるからだ。しかも、谷口への相談のほとんどは、複数の支援機関がすでに本人との信頼関係の構築に失敗し、対応できなかったケース。そのため本人の、支援者に対する不信感や拒否感が強い場合が多い。最大の難関は、最初のアプローチだと谷口は語る。


谷口さんが大切にしている「仕事の流儀」とは、「価値観のチャンネルを合わせること」。
対峙する子どもは、何が好きで何を大切にしているのか。
子ども自身の『価値観』に神経を研ぎ澄ませ、まず好きなことに徹底的に付き合います。
そこから心をほぐし、深い心の痛みの入り口を開けるのです。

色々な引き出しを持っていないとできないこと。知識や資格があってもそれだけではできないこと。
「お話、聞きますよ、好きなことから話していいよ」という姿勢ではできないこと。

NPOには臨床心理士や社会福祉士などのスペシャリストスタッフが多く、
また、佐賀県や佐賀市などの協力を仰ぎ、教育、保健、福祉、医療、矯正保護、雇用などに関係する組織が一丸となって支援を行う体制ができていることも圧巻です。

「アウトリーチ」は、今必要性が叫ばれながら、なかなか実現しない。
どうしても人間は、自分が今いる「枠組み」に守られながら(自分の安心を確保しながら)
人に手を差し伸べようとする。

そこには、「あなたを助けてあげるから、ここに来なさい」という姿勢がぬぐえない。
それでは、本当に助けを求めている手を「差し伸べる手」にならない。

自分自身も、自分の生活も大事だし、、、、リスクもあるし、、、何かあったら責任が、、
そんなことを考えていたらできない。

一方で、谷口さんが体を張ってできるのは、行政を始め、多くの機関が連携し、協働してこそでもあります。
NPO法人や個人が単体でリスクを背負ってできることではありません。
その意味では、佐賀県、佐賀市の「本気度合」も伝わってきます。

谷口さんの仕事を見て、自分の向き合い方の甘さに
頭をガツンと殴られた気がしました。

2015年09月02日 19:06