気がついたら一緒に泣いていた
以前傾聴に来たことのある人から電話がかかってきて
ひとりぼっちが辛くて辛くて死んでしまいたい、と訴える声は血を流すようだった。
かわいそうで、不憫で何を言ったらいいかわからないけど、とにかく必死で言葉をつないだ。
「私は心配しているから」「私が力になるから」「1人じゃないから」と訴えた。
「米山さんみたいなやさしいお母さんがほしかった」
「米山さんがお母さんだったらよかったのに」と
泣きじゃくりながらその人が電話口で言う。
ちがう、ちがうんだよ。
こんなに一生懸命はげましていたら、
こんなに必死な気持ちで話を聴いていたら娘は死ななかったかもしれない。
いいお母さんじゃなかったんだよ。やさしくなかったんだよ。
いま、やさしいお母さんみたいなまねをしていても、
本当に一番必要なときにやさしいお母さんになれなかったんだよ。
だから、いま、ここでこうやってあなたと話す運命になったんだよ。
生きていてほしいと、乗り越えてほしいと思いながら
気が付いたら泣いていた。
いまも電話口の声が耳から離れない。
2017年01月11日 17:34