高橋まつりさんの過労自死について思うこと
電通社員の高橋まつりさんの過労自死に関する一連の動きを各メディアで見聞きするたび、心が痛くなりましたが、先日、母親の幸美さんがシンポジウムでお話しになっている姿をテレビで見たときは、胸をしめつけられるような、苦しい想いがこみあげました。
まつりさんの遺書に書かれていた最後の言葉
「大好きで大切なお母さん、さようなら、ありがとう。自分を責めないでね。最高のお母さんなんだから。」
を目にしたときは、泣いてしまいました。
死を決意してもなお、遺されるお母さんへの思いやりの言葉を紡いだ、本当にやさしい心の持ち主であったまつりさん。
最後の言葉に対して、幸美さんが何を思い、何を決意したのか。
自死遺族はそれぞれに1人ずつ違うので、私が勝手に想像しているに過ぎませんが、
全ての事柄や自死の原因になった関係者への怒りと、娘の遺恨を晴らしたいという決意は並々ならないものがあったと思います。
記者会見の時の幸美さんの、決意に満ちた強いまなざしと、固く結ばれた口元がそれを物語っていました。
「命より大切な仕事はない。」本当にその通りです。
いまや非難の的になっている電通鬼十則「取り組んだら放すな、殺されても放すな」は
正しくは
「仕事が手に入って会社が儲かれば、お前が殺されようが死のうが会社は全然構わない」です。
そう言えば、誰がこの言葉に従うでしょうか。
我々の社会では「死んでも○○」という言葉が安易に使われています。
「死んでも放さない」「命に代えてがんばる」・・・死んだら何もつかめません、死んだらもう二度とがんばれません。
「死んだ方がまし」・・・死の後には、なにもいいことは起きません。
この、単純なことを、経営者も社会全体も、そして1人1人が刻んでほしいと思います。
やさしい人が心を患い、その患いのために生きる選択をする力が枯れてしまう前に。