引きこもり対策は30代まで?
昨日(9月8日)の中国新聞に、内閣府調査発表による、「全国の引きこもり54万人」という発表が掲載されていました。
また、記事の冒頭には2010年の調査に比べて15万人減った、としながら
ひきこもりの長期化(7年以上が35%)や、30代後半から引きこもりになった人の割合が倍増していることなどもあげられています。
この記事を見て、まず、調査対象が30代以下であることに違和感を覚えました。
新聞の解説にも、40代以上が対象でないことで、引きこもっている人の全体像が見えないことが指摘されています。
内閣府が推計値を出すために調査を行う、これはつまり「ひきこもり対策費を予算化するために、ニーズのボリュームを明らかにする」ことが意図です。
裏返せば、「40代以上の引きこもりの人は『援助想定外』」を初めから決めての調査です。
「こころのともしび」を始めたとき、利用者の中心層が40代~50代になるのではないかと想定しました。
30代までは「若者を経済的に自立させること」を最終目的として、様々の自立支援や就業支援の枠組みがあります。
高齢者には「介護保険」を軸として、地域での生活支援や見守りがあります。
人生で最も、色々な岐路に立たされ、家庭や職場で役割が重く、多くの人間関係の中で板挟みになる40代~60代前半に対しては、生活困窮者や心身の障害など、明らかな事由がある場合を除き、サポート先がないからです。
実際に、「こころのともしび」に来られる方は、この年代の方、福祉や医療の手が差し伸べられるかどうか、のグレーゾーンにある人が多いのです。
40歳までひきこもりと非正規労働を繰り返し、「今からではどうにもならない」と無力感を持っている人も多い。
また、一方で、子どもがひきこもりの生活を送っていることを悩み、訴えるこの世代の親御さんの多くはこう言います。
「いまのうちに(20代まで)何とかしないと、自分たちが歳をとって支えられなくなった時に、子どもが路頭に迷ってしまうのでは」と焦り、子どもさんを急き立ててしまっている人も少なくありません。
そんな、割り切れない理不尽な想いを持っていた私には、「39歳で【頭切り】の政策意図、いかにもお役所仕事、という感じがしてなりません。