広島の自助グループ 「NPO法人 小さな一歩・ネットワークひろしま」

自死遺族支援、自死(自殺)防止のための支え合い

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敷居の低い「自死遺族のための法律相談」

3月7日、広島弁護士会主催のシンポジウム「自死遺族の直面する問題を考える」に参加しました。

自死遺族支援弁団事務局長の生越照幸弁護士の基調講演に続いて、
生越氏、佃祐世氏(自死遺族であり弁護士)、世良洋子氏(弁護士)、塩山二郎氏(広島県臨床心理士会会長)の4氏による
パネルディスカッション、という進行でした。

生越氏の講演の中で印象に残ったのは
法律相談に来られる自死遺族は、混乱、抑うつ、自責感、不安や焦燥感などで
「頭の中がもつれていたり、ぎゅうぎゅうになっていることが多いので、
まず、問題の整理整頓、仕分けをして、「遠くてもゴールが見えている状態」になるように
一緒に考えるところから相談に乗ってくれる、というお話です。

よくわかるイラストが「ぐりーふサポートハウス」のHPにあります。
http://www.guri-sapo.com/comic?start=5

その言葉だけでも、一般の人間にとっては結構意外かもしれません。
私の先入観かもしれないですが、法律相談、というと、
「法的支援のまな板にも乗らないような相談を持っていくと門前払いでは」
「わけのわからないことを言うと、先生を苛立たせたり、ばかにされるのでは」と緊張感が先だって、
どうしても、敷居の高いイメージがあります。

また、先生は
「できないことはできないと正直に答えられる」「セカンドオピニオンを勧める」ことができる弁護士を選ぶのがコツである、とお話されました。
「とにかく、ぐしゃぐしゃ悩んでしまったら電話をかけてみて下さい」
「仕分けなんて電話一本でできますから」
「むしろ電話したのに仕分けすらしてくれない相手なら『頼まなくていいんです』」と言われます。

この自死遺族支援弁護団の「自死遺族無料法律相談」が3月28日正午~3月29日正午まで行われます。
詳しくは
「関連団体の開催情報」のページにあります →http://chiisanaippo.com/infomation.html


相談は2つに分かれるのだと思います。
1つは、相続や借金、損害賠償金、または家庭内の問題など、自死遺族自身の今後の人生に係る問題。
1つは、過労自死やいじめ、パワハラ、DVなど、故人の人権や名誉回復に係る問題。

シンポジウムの最後にコメントを求められた私は

「自死は病死などの他の死とどう違うか、それは『無念の死』だということではないでしょうか。
特に後者の場合、故人に代わって『悔しさを晴らしてあげたい』「名誉を回復してあげたい』『弱いから死んだのではないと証明したい』というのが遺族の想いなのです。
だから遺族の想いが強すぎて「死んだ人が返ってくるわけでもないのに、
何をここまでこだわるんだろう」と思うこともあるかもしれないが
その人にとって、故人は「いまも生きている」。
一緒に戦おうと思っているのですから、その想いをどうぞ汲んで下さい」と言いました。

一番難しいのは
法的な解決が「できない」とわかった時の遺族の気持ち。
どこに向かえばいいのでしょう。


難しい、本当に難しい。

現実的には何の助けにもならないけど、
「生前も、死後も『何の力にもなれなくてごめなさい』という遺族の忸怩たる想いを
「そうだね、そうだよね」と静かに聞ける人間でありたいと思います。

2015年03月13日 17:26