広島の自助グループ 「NPO法人 小さな一歩・ネットワークひろしま」

自死遺族支援、自死(自殺)防止のための支え合い

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「自殺未遂者ケア研修」

某日、某「自殺未遂者ケア研修」に出席しました。
主に医療機関従事者を対象としたセミナーだったようです。

昨年広島県が行った「自殺未遂関係者研修」でもそうでしたが、自殺未遂者に直接携わる医療現場の人が少数で、自治体の保健福祉担当者が多い構成でした。

午前中は講義、午後からワークショップ。
3つの事例について各グループで話し合う形式。
1つ目は「仕事に行き詰ってうつ病を発症し、自宅で縊死を図った50代男性。精神科の受診を拒み、退院を迫るケース」
2つ目は「精神的に不安定な20代の女性が恋人と不仲になって過量服用で自殺を図り、病院でも勝手な言動で医者や看護師を困らせるケース」
3つ目は「統合失調症の20代男性。病院に搬送されて暴れているケース」

「手こずる患者への、トラブルにならない対処を学ぶ」学習、と見えました。

事例を見たときからいやな予感がしていたけど、
グループワークをしながらどんどん頭が痛くなってきました。
その事例が娘と一部一致していたからではなく、

そのケースに対して、医療機関側の人たちによって交わされる言葉の端々にある、
「もともと性格や生き方に問題あり」「家族ももてあましている」「アピール行為(注目されたい からしている)」「依存性と操作性(人を自分の思い通りに操作しようとする病的傾向」
などの言葉の一つ一つが、ぐさぐさと胸を刺しました。

怒り、とは違う。「ああ、医療の側の目線はこうなんだ、これが彼らにとっての『正しい知見』というものなんだ」という悲しさや虚しさが胸を覆いました。

娘の死の1年後にカルテの開示を求めに行ったとき、そのときの担当医に言われた
「娘さんは、構ってほしくて狂言自殺をしたんだ、半ば覚醒していたのに意識のないふりをしていて、同情を引こうとしたんだ」
という言葉がこだましました。

私のように、自死遺族がいることをシナリオ上予想していなかったのでしょう。
 

私は精一杯
「この女性は病気ではない。精
神科での投薬やカンファレンスを目的としたカウンセリングより、
ここまで追いつめられた経緯や生きづらさをゆっくり聞いてあげる傾聴が大切だ。」
とグループ内で意見を言いましたが、各グループ発表で同じような意見は出ませんでした。

司会者がこの女性のケースを、「精神疾患というより人格障害」と認めながら
「この人を『精神病院に送るべきか』、論じるまでもないですよね(笑)」。時間が押していたから。

また、50代の男性のケースでは
「わりと男性って、救急には来なくて、直接警察に行くことが多いですけどね」
(つまり未遂が少なく、完遂することが多いということ)と、司会者がさらっと言っていました。

講習会で配られた資料には
「来院した自殺未遂者のケアQ&A」「自殺未遂患者への対応」2つのマニュアルがあり、
立派な建前が書かれていました。

研修の最後に「自死遺族への対応」について15分くらい講義がありました。
急に、敬語を駆使した、丁寧な口調になりました。

そらぞらしいとしか感じられませんでした。

2015年02月15日 17:40