広島の自助グループ 「NPO法人 小さな一歩・ネットワークひろしま」

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まばたきの詩人、水野源三さんのこと

水野源三さんは、1937年に生まれ、9歳の時、赤痢の高熱が原因で四肢の自由が奪われ、
その後には言葉を発することもできなくなりました。

その後、父母や兄弟姉妹の献身的な支えのもと、「まばたき」を使って、多くの詩や短歌を作ります。
そして、12歳の時、近くの教会の牧師との運命的な出会いがあり、洗礼を受けます。

水野さんの詩や短歌の中には、神様に呼びかけ、語り合う作品が少なくありません。
代表的な詩として

神様の
大きな御手の中で
かたつむりはかたつむりらしく歩み
蛍草は
蛍草らしく咲き
雨蛙は雨蛙らしく鳴き
神様の
大きな御手の中で
私は
私らしく
生きる

主よ
洗濯された
カバーをつけた
その座布団に
お座り下さい
扇風機を
まわしましょうか
アイスクリームを
とけぬうちに
召し上がって下さい
それから
母と私の
かわいた心に
いのちの言葉を
語って下さい

代表作の一部がPDFで紹介されています

クリスチャンでない人でも、彼の、いのちをふりしぼる、神様への呼びかけの言葉、
自分の運命を神様にゆだねる想いを読むと、
心の奥がぎゅっと握られたような想いになります。

しかし、彼に不幸が重なります。
お父様を31歳、お母様を38歳、恩師宮尾牧師を42歳で失うのです。

その後、義妹さんの助けを借りながら47歳で亡くなるまで、
亡き両親や恩師のことを綴った詩は、
何度読んでも心が打たれ、深い悲しみが伝わってきます。

逝きし母 身体障害者の我のため 治りたしといくども言いぬ

キリストの愛説き給う師のテープ 母逝きて 我れ一人聞きおり

身障の我に福音を伝えくれし師は 梅雨あけの朝に逝きけり

どこからか
落葉をはく音が
聞こえてくる
落ち葉を焚く
煙りと臭いが
漂ってくる
こんな朝は
消しても
消しても消えない
亡くなった母の姿が
母の涙が
母の祈りが


重い障害を持つ子どもを遺して召される運命にあった、お母様、
どんなに、どんなに心残りだったでしょう。生きていたいと思ったことでしょう。

そのことに想いを馳せるとき、
やはり
「神様は、なぜ、人を、このような順番で、このときに、天国に召されるのか」と
問いかけずにいられません。

 

2014年10月22日 20:44