広島の自助グループ 「NPO法人 小さな一歩・ネットワークひろしま」

自死遺族支援、自死(自殺)防止のための支え合い

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原爆被害は過去のことではない

私が学ぶ広島カウンセリングスクールで前期講師をされた先生は、
広島原爆の被爆者のトラウマカウンセリングをされている方。

前期授業の最後に、こんな話をされていました。

「被爆者の方に『これほどつらい人生を歩まれながら、あなたの人生を支えてきたものは何ですか』と聞くと

「自分を支えてくれた周囲の方への感謝の気持ち」
「前向きに生きようとする気持ち」
「『仕方がない』とあきらめること」
「家族への役割(家族のために自分ががんばらないと、という気持ち)」

そして「運命」。これは自分に課せられた運命、と受け入れる気持ち。
この5つが被爆者に特有の傾向なのだということでした。

長い年月の中で、
「これも自分の運命とあきらめ、家族のために生き抜いてきた。恨みたいこともたくさんあったのに、支えてくれる人の存在に目を向けて前向きに生きようとしてきた」

すばらしいでしょうか? 
そう思い込まないと生きていけないほど、辛い半生だった、と考えるべきではないでしょうか。

原爆の被害をよく知らない人は、69年前の「過去のできごと」と誤解しているかもしれない。

しかし、
被爆者の方は、その後の人生で、放射能の被ばくに対する誤解や偏見で二次的、三次的に被害を受けてきた。
一番ひどいのは「放射能被ばくは伝染する」という風評被害。

このために、被爆の認定を長年受けなかった人、結婚をあきらめた人、仕事につけなかった人。
親族に被爆者がいることをひた隠しにした人が少なくない。

結婚してはじめてお互いが被爆したことを知った夫婦もいると聞いた。
また、放射能の身体への影響が見えないため、子どもを産むことが怖かった、という人もいる。

1945年8月6日という過去のことですか?

福島の方々が同じような試練の人生を繰り返さない、と断言できる人がいるだろうか。

似たようなことは自死遺族にもある。
「自殺する家系は遺伝する」という流言飛語がまだ根強く残っていて、
自死した子どもの姉妹の縁談でひた隠しにした、と、つい最近の分かち合いで聞いた。

何の罪もない人が突然の悲劇に苦しむだけでなく、
追い打ちのように、「社会」がその人を傷つけてきた歴史をきちんと反省しないと

決してこのことは過去にならない、と思いました。



 




2014年08月04日 20:11