NHKスペシャル「僕はなぜ止められなかったのか」
8月に放映され、10月に再放送があった番組です。
さらに1か月もたった今日、録画していた番組を観ました。
途中から涙が止まらなくなりました。
3年間に起きた、中学3年生、篠原真矢君の自死。
2年生のときに自分をいじめていた同級生が3年でも同じクラスになり、体育祭のクラスの応援団長になり、クラスのヒーロー扱いになる。
真矢君は、気持ちの上で許せず、体育祭の後、その男子の教科書をずたずたにしてしまい、そのことでいじめが再開するだけでなく、加害者としてクラスの中から孤立する。
仲良しだった小島君も、クラスの空気に流されて、真矢君に一歩ひいた「傍観者」になってしまう。
ある日、一緒に行くはずだったカラオケに真矢君は現れない。その時間、彼は小島君と他のクラスメート15人に遺書ともいえるメールを送っていました。
メールを送っていたのが12時すぎ。亡くなったのは2時台。
その間、彼はこのSOSに対して、誰かが連絡してかけつけてくれることを最後の望みにしていたのでは。
でも、不運もあって、誰も彼に連絡をしなかった。
その間、1時間の、真矢君の孤独と絶望はどれほどだったろうか。
元々ひょうきんで友達好きだった真矢君。
どんな想いで命を絶ったのだろうか。
胸が引き裂かれるような想いがします。
小島君はその後3年間、自責の想いを抱えます。
真矢君がたびたびが発していたサインを中学3年生の受け流してしまったこと。
同級生にいじめられている彼をかばってあげることができなかったこと。
自死当日も、真矢君からのメールを自宅に携帯を置いていったために気づかず、気づいたときにはもう遅かったこと。
「修学旅行、楽しかった」「もう恨んでないよ」メールに書かれた言葉を彼はずっと背負ってきた。
彼は死の直前にメールを送られていた15人の友達に声をかけ、亡き親友の月命日に彼の家に友達で集まる。3年間欠かさずに。
受験を控えた彼に真矢君の両親は「もう、楽になっていいんだよ」と声をかけます。
「3年間、ずっと君に自責の想いを抱えさせた、君に息子は残酷なことをした、すまなかった」
「受験をがんばって君たちには幸せになってほしい。真矢のことは忘れられないと思うけど」
両親も、自死直後はいじめの当事者とともに、息子を救ってくれなかった友人を恨んだといいます。
しかし、3年間、親友が背負ってきた、だからこそ毎月、つらい場所に自分から訪れ続けた彼に対して
「もう肩の荷を下ろして、自分の幸せのために生きてほしい」と思ったのでしょう。
「しんどかったね」その一言にすべてが集約されている。
「自分だったら」と考えずにはいられませんでした。
毎月来てくれることはうれしい。
でも、若い時代の生活の変化は早い。
毎月集まるために、小島君にも級友にも負担がたまっていくのでは。
まして、みんなこれから受験の本番。その後はそれぞれの道に分かれていく。
親としても心苦しい。
段々集まる人数が減っていくのもつらく、寂しい。
それを食い止めようと小島君が苦しむ姿も見たくない。
であれば、親からむしろ「そろそろ卒業したら・・」と声をかけよう。私でもきっとそう思う。
小島君は「真矢君のことを忘れることはない」と言いました。
彼は月命日の集まりを今後続けるのか、それはわかりません。
高校3年生の彼も両親も実名と顔を出して応えたロングインタビュー。
「もうこのような悲劇は二度と繰り返してほしくないから」と最後に結んだ言葉。
番組放映のあと、無責任で心ない投稿が2chに集まったけど、それも覚悟しての勇気だったのだと思います。
小島君を応援したい。
「真矢君のことを忘れず、しっかり生きて、そして自死防止のために取り組む人になってほしい。」
≪関連HP≫
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