こんな「記念日の悲嘆」もある
娘が自動車販売会社で働いていた頃に彼女を通じて買った車が初めての車検を迎える。
買うときに、娘の職場に行き、カタログや見積書、カラーサンプル、実車の試乗などをしながら
張り切って営業している娘のたのもしい姿を見た。
そのときの声や姿、言葉が思い出される。
勧められてJAF、任意保険、会員カードに入った。多少でも営業成績になればと思ったから。
今でもそれぞれからDMが来るたびに娘のことを思い出してきた。
「ママ、この前加入したあのカード、使ってる?ポイント貯まると定期点検なんかにも使えるんよ。」
と言った明るい声がDMが来るたびに耳によみがえる。
先日、職場の人から遠慮がちに連絡があった。
購入時に加入した3年間のメンテナンスパックを一度も使っていないので返金します、とのことだった。
娘が在職中、とても親切にしてくれた先輩。会ったこともあった。
その人には罪はない。会社も、その職場にも恨みはない。
ただ、その職場の人間関係が死につながった。どうしても辛い気持ちしか浮かんでこない。
忘れたい、もう構ってほしくないと思う。
車はポンコツになっても乗り続けるだろう。娘が車の中に残していった化粧水のボトル。ぼろぼろになっても捨てはしない。
でも、もう、K市の職場のことは葬りたい。