広島の自助グループ 「NPO法人 小さな一歩・ネットワークひろしま」

自死遺族支援、自死(自殺)防止のための支え合い

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生活困窮者支援はお金の問題が解決されればOKですか?

女性専用シェルター事業を始めて2年と少し経ちます。
小さな一歩の女性シェルターでは、単純な生活困窮者だけでなく、精神障害等を一因として家族や社会から孤立し、行き場を失くしている人や、家族による様々な暴力や虐待によって、精神障害の状態にある女性も保護対象としています。
 
2年余りの間、数十人の方がこの場所を通り過ぎていきました。
無事に職と住居を得て、今は安定した生活を送っている人も多い。
職につかないまでも、公的支援を受けながら、自分なりの生き方を見つけた人も多い。
その中には、今も「こころのともしび」のフレンドさんとして顔を出してくれる人も少なくありません。
今の生活もいいことばかりではなく、つまづいたり、心が不安定になってしまうこともあるけれど、そんなときも、ここに来て一緒にご飯を食べたり、笑ったり、時には傾聴で思いを吐露することで、根本の解決にはならなくても、多少は気持ちを楽にすることができる。
 
でも、反対に、何らかの経済的な保証は得たものの、心身の健康の回復がないままシェルターを“卒業”する人を見送る時には胸が痛みます。
特に、恐らく幼少期から何らかの障害があったのに、生育環境が原因か、必要な公的認定や支援が受けられずに中高年の今まで過ごしてきたであろう人。
精神的な特性も一因してか、親族からも孤立し、社会に受け入れられず、挫折を繰り返している人。
その繰り返しで、心がかたくなになり、誰の助言も受け入れず、支援の手を拒否している人。
残念ながら、そのような“卒業者”に対して民間のNPO法人ができることには限界があります。
“伴走者の自主的な好意”以上のことができません。
それを拒否されることも多く、無力感がつのります。
 
その方に必要なのは「生活保護」というお金での最低保証に終わるのではなく、
孤立の悪循環を断ち切るために、時には専門的な権限と実行力をもって病気の回復や障害者支援につなげる「力」が必要だと思うのです。
 
いまの「生活困窮者支援」制度でそれは十分と言えるのでしょうか。
私には、そのようには思えません。
 
 
2019年05月12日 19:16