「悲しいきっかけだけど、つながったご縁を大切にしましょう」
9年前の今頃でした。娘の死を乗り越えられず、仕事が終わって1人になると、手当たり次第、「何かの救い」を求めて、がむしゃらにインターネットを検索をしていました。
その中で見つけたのが仙台の自死遺族の分かち合い「藍の会」のホームページでした。
他のサイトになく珍しかったのは、代表の田中さんの直通携帯電話の番号が載っていたこと。「だめもと」で電話をかけました。
いきなり、全くの他人の電話口での一方的な語りに田中さんは耳を傾けてくださり、最後に「悲しいきっかけだけど、つながったご縁を大切にしましょう」と言ってくださいました。
その一言でどれだけ救われたことでしょうか。
その後、小さな一歩の活動のこころの原点はここにあります。
楽しさや喜びでつながる縁は、春の光の中でスキップするようにやってくる。
悲しいこと、辛いことでつながる縁は、逆風の嵐の中で這うようにやってくる。
でも、だからこそ他になく、強いものがあると今も感じています。
毎日のようにメールやLINE、電話で深刻な相談が寄せられます。
とっさに返す言葉が見つからない相談もたくさんあります。
でも、細い糸をたぐるように、小さな一歩にたどり着き、連絡をしてくる方々の「必死の思い」に、かつての自分が重なることがあります。
だから、その返事は、絆を求めてきた手をしっかり握り返すものでなくてはいけないと感じています。
シェルターでつながった縁。
こころのともしびに「人生の休憩」をしに来られる方との縁。
傾聴や分かち合いでつながった縁。
その方が生活の自立や、心の整理、次の落ち着き場所が決まるなど、「ここ」を卒業されていっても私の心の中で「縁」が終わることはありません。
卒業していく人の旅立ちに「人生に幸あれ」と。
そして「辛い時はいつでも帰ってきていいんだよ」との言葉を贈りたい。
2020年09月02日 17:53