広島の自助グループ 「NPO法人 小さな一歩・ネットワークひろしま」

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モノ言わぬ植物の生命力に学ぶことは多い

 「柿酢」の作り方をご存知ですか?
 一言で説明すると、生の柿に何も加えず密封瓶に漬け込み、待つだけ。生では食べられない渋柿でも、形の悪い柿でもOK。皮についている酵母の力でおいしい柿酢が出来上がります。(細かい説明は料理専用サイトをご覧になって下さい。)

 以前、教えていただき、自宅で柿酒・柿酢づくりをしたことがあります。
 密封瓶の中の柿は初め、ドロドロになって異臭(?)を感じ、「腐っているのかも?」と思わせる姿になります。それでも捨てたり、手を加えたりせずに待っていると、本当においしい柿酢になります。

 先日の「こころを休憩する会」の会話の中で、私はこの「柿の発酵力」についてちょっとお話しをしました。一見腐敗しているように思える時でも、備え持つ酵母の力を信じてジタバタしない、見捨てない。手を加えないで静観し、待つ。すると、熟成した、素晴らしいものになる。これは人間にも通じることではないかと。
「自分はもうだめだ」「この人はだめな人だ」と思ってしまいそうなことはある。でもそんな時も、それぞれが内側に秘めるチカラが発酵して"いい味を出す日が来る"を信じて「待つ」ことも必要なのではと。

余談のような流れで話したお話しでしたが、共感してくださった方がいました。
「今の自分は何もできない。他の人と比べて『これもダメ、何もかもダメ』と思ってきたけど、そんな"自分"を丸ごと認めて、熟成する日が来ることを待つのが、自分に与えられた『今という時期』なのでは、と思えるようになって、心がふっきれました」。

うれしい一言でした。

 今まで、色々な形で関わってきた方々の中にも、多くの困難や障がいの中で「無理かも」と思う、冬の季節を耐え、乗り越えて、元気になっていく人たちを沢山見てきました。植物も人間も、内側に秘めたチカラが目覚める時が必ず来ることを信じたいといつも思っています。
 
2021年02月21日 18:19