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「ノマノランド」には「さようなら」はなく、「また会おう」がある
 

「ノマノランド」。2020年のアメリカ映画で、2021年の第93回アカデミー賞で最優秀賞である作品賞・監督賞・主演女優賞の3部門を受賞した作品です。
1回目に観たときは、映画館の大画面で、アメリカの広大な大平原の圧倒的な美しさ、
それに重なる「ノマド」の生き様、同時に、語る言葉がないほどの深い寂寥感に胸が締め付けられるほど感動しました。
最近、配信版のレンタルが始まったので、再度観て、改めて、一つ一つのシーンや言葉が、胸に重く深く残りました(いい意味で)。
 
長年、企業城下町で夫と過ごしてきた主人公ファーンは、夫の死後も閉鎖された町に住み続けますが、ある日、家財を残したまま町を出て、定住地を持たない「車上生活者ノマド」の生き方を選び、各地を働きながら旅します。
ノマド生活の中で色々な人たちとの出会いや別れがあります。

映画紹介やあらすじは→ 
映画『ノマドランド』ネタバレあらすじ結末と感想|映画ウォッチ (eiga-watch.com)

私の心に重く美しく残ったのは、映画のラストシーンです。
ファーンは、ノマドの集いのリーダー、ボブに、夫の死後も閉ざされた町に住み続けたこと、家財を残して町を出た理由を語ります。
「彼には親も兄弟もなく、子どもも残さなかった。私がこの地に住み続けないと、彼が『生きていた事実』がなくなってしまうと思ったの」。
ボブは、5年前に息子を自死で亡くしたことを打ち明け、また、このように語ります。
「多くの人にとって『グッドバイ』は『さようなら』という意味だが、ノマド生活者にとっては最後の別れの言葉ではない。ノマド生活者にとって『グッドバイ』は『またどこかの土地で会おう』という意味だ。私はこの道を歩み続けることで、息子とまた会えるのでは、と思うんだよ」。
ファーンも、「夫にこの道の先で、いつかまた会える」という思いを胸に、町に戻り、家財を全て整理し、再び旅に出るのでした。
 
「さようならと言わない、『また会おう』がある」。この思いは「こころのともしび」の想いに重なるものがある、そんな風に思います。「いつが始まりでもなく、いつが終わりでもない」。「こころのともしび」には利用資格も利用者登録も期間の定めも、初めも終わりも決まりがありません。
いつも、誰にでも「こんにちは」でお迎えし「じゃ、またね」でお見送りします。
そこで、色々な出会いが交叉する中に、「娘もいる。きっと、いつもいるのだ。」
「ノマノランド」のラストは、私の心に深く、美しく刻まれたのでした。
 
2021年08月25日 14:41