広島の自助グループ 「NPO法人 小さな一歩・ネットワークひろしま」

自死遺族支援、自死(自殺)防止のための支え合い

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11年前にあってほしかった自殺未遂者支援

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 来年度から厚生労働省が開始する「自殺未遂者支援のモデル事業」について中国新聞に掲載されていました。
 記事によると、自殺未遂者が救急搬送された後、退院する際に必要なサービスにつなげるコーディネーターを都道府県の地域自殺対策推進センターに配置し、コーディネーターが当事者の悩みを傾聴しつつ、状況に応じて必要な支援につなげる、というもの。
 先月22日、広島市社会福祉協議会の会議で、広島市民病院の地域連携室ですでに同様な試みが実施されていることをお伺いしたばかり。今後、全国的な取り組みになっていく、ということでしょうか。
 
  先日の会議でのお話、今回の新聞報道。本当に必要な「自殺防止の水際対策」に、国をあげて本腰を入れてくれるようになった、という気持ちと、正直、複雑な気持ちが抑えきれませんでした。
 
 11年前、娘は自殺未遂を図り、救急病院に搬送されました。内科的処置が施された後、まだ深い眠りにいる娘を前に、深夜に「すべき処置は終わったから、家に連れて帰りなさい」と言われました。せめて目が覚めるまで病院にとどめて、精神科のケアを受けられないか、とお願いしましたが、全く受け入れられませんでした。(のちに、「希死念慮がある人をとどめていくと病院内で自殺を図るかもしれない。そんなことがあると病院が困るから。」とその晩のことを説明されました。)
 戸惑い、混乱した私たちは途方にくれました。
 命綱が切られ、見捨てられたような気持ちでした。
 自殺未遂をした娘をどうしたらいいか、明日また、同じことが起こったらどうしたらいいのだろう、、、その不安は悲しくも現実のものになりました。次の日、なすすべもなく動揺した私の言動が引き金になり、娘は衝動的に自ら命を絶ってしまいました。

 もしあの晩、何らかの精神的ケアの情報があったら、、翌日以降、誰かが手を差し伸べてくれる、という一縷の希望があったら、、、

 私が直面したことと、今回のモデル事業は内容は異なるかもしれないけど、未遂者を前に途方にくれ、不安で混乱している家族にとって「医療や精神の専門家が伴走してくれる」、一筋の希望があるのとないのでは、どれだけ違うでしょうか。

 我が家のような悲しい事実は、自死遺族の方のお話の中でも多く聞きました。今回の事業を私と同じ気持ちで見ている自死遺族がどれだけ多くいらっしゃるでしょうか。
 もともと、「小さな一歩」を立ち上げた時、私が一番やりたかったことは、まさに今回の事業そのものでした。(何の資格もない1人の素人にはとうてい無理と思いながら。。。
 
「必要な支援につなげる」行く先として「NPO法人」があがっています。
小さな一歩が、その片隅に位置していたいと思います。
「できれば、娘が生きているときにしたかった。一命をとりとめ、元気になった娘と一緒にしたかった」。。無理だとは十分わかっているのですが。
 
2022年12月06日 19:28