雨の日、ささやかにほっとする話
心に病を持つお子さんを支えながら、その子どものためになれば、と勉強し、身体とこころを治療する仕事をしている人がいます。
その方の治療に、似たような苦しみを抱えるお子さんを連れてお母さんが来られました。
その方は、その苦しみが我がことのようにわかる、と一生懸命治療をしました。
「すごく楽になった」と親子は喜んで帰られました。
「他人のために一生懸命している自分が、一番大事な我が子を楽にしてあげられないことが苦しい。
子どもからもそのことを責められることがある」と苦しむことがご本人には少なくないそうです。
その辛さをスタッフの1人が聞きました。
そのスタッフはかつて、心の病で苦しんだとき、母親を責めた経験がありました。
「自分は過去に、お母さんをこんな風に苦しめていたのね。今、この場で代わりに謝罪をしてもいいですか?
『お母さん、本当にあのときはごめんなさい』!!」
その声を聞いた方も、それを打ち明けられたスタッフも、
「現実は何も変わらないけど」何か、心が軽くなったそうです。
今日は、大雨洪水警報などの影響で、来訪予定者が2人キャンセルになり、
スタッフ3人でゆっくり昼食を囲みながらそんな話をしました。
「きっと、お子さんも、今は自分のことが苦しくて必死で、お母さんにぶつけてしまうけど、
いつか『お母さん、ごめんなさい』と口に出せる日が来る」と信じます。
たまには、いいな。ゆっくりできたから、こんな話が聞けたな。
庭にふりしきる雨を見ながら、そんな風に思っています。